スワティ・プンド薬学 博士 02
著者 スワティ・プンド 薬学 博士 スワティ・プンド 薬学 博士 Ph.D.

糖尿病とバイアグラ

勃起不全(ED)は、35歳から70歳の男性によく見られる典型的な性機能不全の一種です。多くの男性は、ストレスや疲労の影響で性行為に失敗してしまうことを正常な結果として認識しています。しかし、ED(勃起不全)は重篤な慢性疾患の前兆であることが多いので、注意が必要です。その一つに糖尿病が挙げられます。糖尿病とEDの両方に悩む人の多くは、以前のように性行為ができるまで回復するために、医師に助けを求めるケースが多く報告されています。

糖尿病とED

世界保健機関(WHO)のデータによると、世界では4億2200万人が糖尿病を患っているとされています[1]。医師による定期的な診察・相談とインスリン療法は、糖尿病と診断された患者の生活に欠かせないものとなっています。

性機能障害を患っている人の実に40%以上が糖尿病患者であるという研究結果が報告されています[2]。研究によると、勃起不全は1型糖尿病の男性の49%にみられるのに対し、2型糖尿病の男性では89%と、より多く見られます[3]

勃起不全を発症するリスクは、糖尿病を患っている期間や重症度だけでなく、喫煙、飲酒、偏った食生活などの生活習慣にも直接関連しています[4]

糖尿病はいくつかの要因により勃起機能の低下を引き起こします:

  1. 細小血管へ損傷や、血管内皮障害、動脈硬化などの血管障害により、陰茎への血液の流入が不十分になると勃起力が低下します [5]
  2. 陰茎の海綿体や会陰の神経系や、自律神経に障害が起こることで、性的刺激が陰茎に伝わりにくくなります[6]
  3. 糖尿病を罹患していると、うつ病を合併しやすいとされています [7]。うつ病は勃起不全にネガティブな影響を及ぼすことがわかっています。

糖尿病とED

糖尿病性ED(勃起不全)の治療方法

勃起不全を治療するためのオプションはいくつかあり、それぞれの患者が症状に合った治療法を選ぶことができます。最も手軽な方法はED治療薬を服用する方法であり、最も困難な治療法は手術になります。

糖尿病性勃起不全の治療は、まず、EDの原因となっている糖尿病を治療することが重要になります。そのために、患者は血糖値を調べるために、グルコースの数値やグリコヘモグロビンの数値を調べる検査(HbA1C)などを行います[8]。また、糖尿病患者は合併症を発症しやすいので一般的な健康状態と、勃起不全の症状についても適切に診断を受ける必要があります。

糖尿病の治療には、食事療法と運動療法、内服治療・インスリン療法などの薬物療法があります。医師は、患者の検査結果を参照し、適切な治療方法を判断します。合併症を発症している場合は、その症状の治療を行う必要もあります。


糖尿病患者のバイアグラの使用について

バイアグラ(シルデナフィル)は、ED(勃起不全)の治療に用いられる代表的なお薬です。バイアグラの作用は、陰茎の平滑筋を弛緩させてペニスへの血液の流れを促進します。この効果により勃起を促し、維持するサポートをします。

欧米で行われた研究では、糖尿病の患者がバイアグラを服用することで、ED(勃起不全)の治療に高い効果が示されています。有効成分シルデナフィルは糖尿病性EDの治療にも多くの治療実績を有しています。

バイアグラは血糖値が高い場合でも、勃起を改善することができることが報告されています[9]

医師は通常、バイアグラを含むED治療薬の使用を1日1回までとし、性行為の1時間前までに服用することを推奨しています。ED治療薬を服用すること自体が勃起を引き起こすわけではなく、性的刺激を受けた場合のみで効果をあらわします。シルデナフィルの効果は4~6時間ほど持続します。



糖尿病患者におけるバイアグラの併用禁忌

バイアグラの心臓への影響を考慮すると、心血管系に合併症を患っている糖尿病患者は、細心の注意を払ってED治療薬を使用する必要があります。糖尿病の患者だけでなく、他の疾患をお持ちの人にもED治療薬の使用にはいくつかの禁忌があります。

糖尿病患者がバイアグラを使用する際の禁忌は以下の通りです。

  • 糖尿病網膜症:
    眼球の網膜に損傷がある場合、性行為は眼底の状態を悪化させる可能性があります。
  • 動脈性低血圧:
    ED治療薬には血管拡張作用があるため、血圧の更なる低下を引き起こしてしまいます。
  • 糖尿病の合併症が増えていたり、重症度が継続的に悪化したりしている場合

これらの禁忌症を患っている場合、そして、糖尿病の他の合併症がある場合、勃起を得るためにED治療薬を使用するには医師の指示に従って慎重に行なう必要があります。

糖尿病患者のバイアグラの使用について

糖尿病患者におけるバイアグラの副作用

バイアグラを服用することは糖尿病の治療に大きな影響は与えませんが、いくつかの副作用を引き起こす可能性があります。最も頻繁に報告されている副作用は以下の通りです:

  • 頭痛
  • ほてり
  • 消化不良、上腹部の痛み
  • 鼻づまり
  • 視力の変化:視界のぼやけ、光に過敏になり色が変化して見えたりする

重篤な副作用は、2〜4%の低い発症率となっています[10]。重篤な副作用が発生した場合には、早急に医師に助けを求めてください。


まとめ

糖尿病患者の勃起不全の治療は、90%以上の症例で効果があるとされています。ED治療薬を安全に服用するためには、糖尿病患者は以下のことに注意する必要があります:

  1. 糖尿病の合併症として勃起不全が発症している可能性は高くなります。EDの治療は、糖尿病の症状が安定するかどうかに直接的に関わってきます。
  2. 糖尿病患者がEDを治療する際に処方される医薬品はバイアグラなどのED治療薬です。
  3. 糖尿病患者がバイアグラを服用する際にはいくつかの禁忌があります。
  4. 副作用があらわれたら、医師の診察を受けてください。医師は体調を観察し、薬物治療の調整をしてくれるでしょう。

参照

  1. https://www.who.int/health-topics/diabetes#tab=tab_1
  2. M. Kubin , G.Wagner, A.R. Fugl-Meyer Epidemiology of erectile dysfunction. Int. J. Impot. Res., 15, 2003, 1, 63-71
  3. Kupelian V., Shabsigh R., Araujo A. B., et al. Erectile dysfunction as a predictor of the metabolic syndrome in aging men: results from the Massachusetts Male Aging Study // J. Urol. — 2006. — Vol. 176. — Р. 222—226
  4. Klein R, Klein BE, Lee KE, et al. Prevalence of self-reported erectile dysfunction in people with long-term IDDM. Diabetes Care 1996;19:135-41.
  5. Iribarren IM, Saenz de Tejada I. Vascular physiology of penile erection. In Carson CC, KirbyRS, Goldstein I eds. Textbook of erectile dysfunction. Oxford: Isis Medical Media 1999:51-57.
  6. Lincoln 1, Crowe R, Blacklay PF, et al. Changes in VIPergic, cholinergic and adrenergic innervation of human penile tissue in diabetic and non-diabetic impotent males. 1 Urol 1987;137:1053-59.
  7. Anderson Rl, FreedlandKE, ClouseRE, Lustman PJ. The prevalence ofcomorbid depression in adults with diabetes: a meta-analysis. Diabetes Care 2001:24:1069.
  8. Jardin A, Wagner G, Khoury S. Recommendations of the 1st international consultation on erectile dysfunction. Plymouth: Health Publication: 2000.
  9. Martinez Jabaloyas J. M., Gil Salom M., Pastor Hernandez F., et al. Efficacy and safety of sildenafil in patients with erectile dysfunction and hypertension. Prognostic factors // Med. Clin. — 2002, Sep. — Vol. 13. — № 119(8). — Р. 2815.
  10. Helistrom W, Gittelman M, Karlin G, et al. Sustained efficacy and tolerability of vardenafil (Levitra®), a highly potent, selective phosphodiesterase-5 inhibitor, in -men with erectile dysfunction: results of a randomised, double-blind, 26-week placebo-controlled pivotal trial. Urology 2003:26:777-83.
スワティ・プンド薬学 博士 02
著者紹介: スワティ・プンド 薬学 博士 スワティ・プンド 薬学 博士は、学術・研究分野での確かな経験と、査読付き科学雑誌での出版、ファイザーなどの大手製薬会社での研究経験を有する薬学博士です。当ウェブサイトのすべてのページで専門知識を監修しています